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日本が誇るジャズミュージシャン

梅雨らしくじめじめした気候になりましたね。

今回は、わたくし間瀬が学生時代に出会い、それ以来大好きなミュージシャンの紹介です。

穐吉(秋吉)敏子さんは、ニューヨーク在住の日本人ジャズピアニスト・作編曲家・ビッグバンドリーダー。1929年に満州で生まれ7歳でピアノを習い始め、その後日本に引き揚げてからは米軍のダンスホールでジャズピアニストとして演奏を開始します。26歳で単身渡米し日本人としては初めてバークリー音楽院(現バークリー音楽大学)で奨学生として学び それ以降は米国に残ったままジャズピアニストとして世界的に名声を馳せています。 

と、書くと華々しく感じますが、日本人として一人異国で生きるには並々ならぬ苦労が彼女にはありました。

第二次大戦後、フィリピンで30年近く任務解除を待ち続けた小野田少尉のエピソードに感動して秋吉が書いた『孤軍』(1974)と言う曲があります。マイノリティである日本人がジャズを創作し演奏する事の意味を問い続けた秋吉もまた、アメリカで“孤軍奮闘”していました。

その『孤軍』がヒットした事で、日本人女性と言う物珍しさの枠から脱し、自らのポジションを確立したとも言われています。

この『孤軍』、雅楽の要素が取り入れられ、鼓が使われています。フルートの音色が和楽器のような音色を奏でていたりして、かなり独特です。

もう一つ秋吉の代表作として有名な『Long Yellow Road(1961)。この“Yellow”には、生まれ故郷の旧満州の黄土のイメージ、そして人種差別のある米国で味わった黄色人種としての苦悩、の意も込められています。

 

私は、彼女の演奏は過去3回体験しておりますが、力強い演奏には、その苦悩の中で培われた強い意志、その中に日本人女性としての繊細さもあります。また、男性ばかりの中で紅一点、ビッグバンドのリーダーとして40年余り仕切り続ける姿には、今だ妥協しない凛とした佇まいに圧倒されます。何だか、私さえも勝手ながら誇らしく思ってしまうのです。

バンド自体の演奏のクオリティもかなり高い。MCで見せるお茶目な一面もとても魅力的。御年82歳、日本が誇るアーティストです。

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